国立新美術館「具体美術協会展」

平成24年8月4日(土)

 

具体美術協会(1954~72年)は関西を拠点に破天荒な個性で経済的にも躍進した当時の日本を駆けぬけていった前衛集団。「人のまねをするな」「これまでになかったものを創れ」というリーダー吉原治良の言葉は布穀会と同じで非常に親近感が湧く。そこで「具体」の旧会員による座談会の行われる日を選んで急遽、国立新美術館の同展研修会を企画した。

内容は予想通りエネルギーに溢れ、迫力満点だった。黒地に赤い円の吉原治良、足で描く白髪一雄、丸形連鎖の田中敦子、絵の具を滴らせる元永定正、オートマチック線画の金山明等未知へ果敢に挑戦する作品が多い。

「具体」は解散後も関西や海外で回顧展が度々開かれたが、これ程大規模なものは東京では初めてという。これは国立新美のキューレーター平井章一氏の熱意に負うところが多いという。来年はニューヨークのグッケンハイム美術館で海外キューレーターの手によって具体展が企画されている。このように美術展企画にはキューレーターは今や欠かせない存在で優秀なキューレーターをメモしておく必要を感じた。

今回の研修参加者は5人であったが、展覧会の作品や座談会出席者の発言にかなり触発されることが多い時間を持てたようだ。

朝日新聞平成24年7月25日夕刊 具体展の記事